【日本酒の起源!?】君の名は。にも登場する「口噛み酒」について
- 2016年9月20日
- 日本酒
※ネタバレは一切ありません!
ちわっす。
福岡のもつ鍋「赤門屋」の2代目店主
タキツバこと滝澤 翼 です。
皆さんはもうご覧になりましたか?
今大ヒット中の映画
君の名は。
僕も妻と一緒に見ましたが
非常に良い映画でした。
ストーリー自体は主人公の男女が
中身だけ入れ替わるというベタな話ですが
とにかく映像が素晴らしいのと
音楽とのシンクロがすごく効果的で
グ〜ッと物語に引き込まれていく感じが
すごく心地の良い映画です。
それぞれのキャラクターも等身大で
感情移入がしやすく、ベタでありながらも
次の展開にハラハラさせる状況描写が
非常に素晴らしいと思いました。
とまぁ普段あんまり映画を見ない僕の
しょうもない感想なんかどうでもいいんです(笑)
物語の中で口噛み酒(くちかみざけ)
というものが出てきて
非常に重要な役割を果たすのですが
その口噛み酒とはなんぞや?ということを
今日は利き酒師である僕が解説させて頂きます。
※ネタバレは一切ありませんのでご安心くださいね。
まずは口噛み酒の説明に入る前に
簡単に日本酒が出来上がる仕組みについて
わかりやすいようにイラストを交えて
説明させてください。
米を「麹菌」の力を使って発酵させ
「麦芽糖」という糖分にする(糖化)
出来上がった麦芽糖を酵母菌が食べ
排泄物としてアルコールと二酸化炭素を出す。
(アルコール発酵)
簡単に説明すると日本酒はこうやって
出来上がっていきます。
お米を蒸し、水と合わせてから
麹菌と酵母菌を添加し
糖化とアルコール発酵という
2つの発酵を促して日本酒は作ります。
これが例えばワインになると・・・。
ブドウの中のブドウ糖を
ワイン酵母菌が食べて
排泄物としてアルコールとCO2を出す。
酵母菌の力を利用して起こす
アルコール発酵を利用して作るのが
ワインになります。
原材料であるぶどうの中に
最初から糖分があるために
ワインは1回だけの発酵で済みますが
米の主成分はでんぷんで糖分は含まないため
日本酒はアルコール発酵の他に
糖化という発酵を必要とします。
合計2回の発酵をするのが日本酒造りなんですね。
この発酵の回数の違いで
アルコール発酵は大きく2種類に分けられます。
単発酵・・・ワイン、ブランデーなど
複発酵・・・日本酒、ビールなど
本当は複発酵も単行複発酵と
並行複発酵に分かれるのですが
難しいのでここでははしょります。
さて本題の口噛み酒の話に入っていきます。
もう一度日本酒の仕組みのイラストを
見てみましょう。
麹菌の力を利用して
まずお米のデンプンを麦芽糖に
糖化することから始まりますが
この糖化は麹菌の力を借りずとも
起こすことができるのです。
皆さんも必ず経験したことがあるはず。
ご飯って噛めば噛むほど甘くなりませんか?
実はあれが「糖化」という発酵そのものなんです。
唾液に含まれる糖化酵素の力で
デンプンが麦芽糖に変わっているんです。
要するに麹菌の力を使って糖化をする代わりに
人間が米を口の中で嚙み潰し、
それを壺で保存しアルコール発酵を促して
作っていくのが口噛み酒というわけです。
この口噛み酒に関しては諸説ありますが
日本酒の起源とも言われています。
稲作が始まった弥生時代以降に
神事の際に神社で作られていたようです。
主に巫女さんが生米を噛んでは容器に吐き戻し
一晩以上の時間保存し作っていたみたい。
映画の中でも巫女さんである女の子二人が
お米を噛んでいましたよね。
他人が噛んだお米で作るなんて
今ではちょっと考えづらいですが
遠い昔に実際に作られ飲まれていたようです。
ちょっと話は逸れますが・・・。
日本に初めて生まれたお酒ってなんだと思います?
実はこの口噛み酒よりもずっと前に
飲まれていたお酒があると言われています。
それはなんと・・・。
ワイン。
なんとワインなんです!
縄文時代に土器の登場により
食料の貯蔵ができるようになりましたが
とある遺跡で山ブドウの種の入った土器が
見つかっているんです。
土器の中で潰れたブドウが自然発酵し
いわゆるワインになったというのが
日本の最初のお酒と言われています。
縄文時代の人たちもその山ブドウ酒を飲んで
日頃の鬱憤を晴らしていたことでしょう。
なかなか獲物が捕まらないとか
もしくは旦那の悪口で盛り上がったりとか。
つまみは一体何を合わせてたのかな。
そんなことを考えると少し楽しくなりますね!
ということで今日は
口噛み酒について書きました。
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